それはある日のことだった。私と妻の間には来月に高校一年生になる息子がいるのだが、ひとりの可愛らしい女の子を連れてきた。私は息子にガールフレンドがいることをその日に初めて知ったのだが、妻は女の勘ゆえだろうか薄々気づいていたようだ。私はそのつぶらな瞳の少女に軽く会釈をした。育ちがいいのだろう、その少女は明るく丁寧に返した。二人が部屋に入って扉を閉めた途端に、私はなぜか落ち着かなくなってしまった。部屋からは二人の笑い声が聞こえてきた。
時計の鐘は五回響いた。かれこれあれから四時間は経つ。私は気になって仕方がなく、飲みものを持って行く名目で覗きにいくことを思いついた。階段をあがり息子の部屋の前に立つと私は自分のつばをのむ音がまわりに聞こえわたるほど静かなことを怪しんだ。先ほどまでの笑い声どころか話し声も聞こえない。あれこれとよからぬ想像が脳裏をかけめぐった。額から一滴の汗が垂れるのを感じる。ドアノブに手をかけようとしたとき中からふと少女の小さな声が聞こえてきた。
「ゆっくりね・・・」
私はその声を聞いたとき頭が真っ白になった。そしてすぐに扉を開けた。
二人はジェンガをしていた。
※ジェンガ
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桜井からこの短文がLINEで送られてきた。
勉強中気分転換に書いたそう。
なかなか面白い。
外で人目も憚らずニヤニヤ笑ったw
何がって、リアルではこの物語の主人公と立場がまるで逆な彼が
相反する親の心情をよくもここまで表現できるなぁって。感心した。
ちなみに、そんな彼は女の子を部屋にあげる際、
必ず自室の扉を開けている。
健全な18歳男子だからこんなこと、もあるけれど
扉を少し開けておく、それは女の子に対する「マナー」なのだ。
そんな桜井の硬派すぎるところに嫌気が差したカノジョもいたってことは
ここだけのナイショな。