昨日の真夜中。
寝入った頃にカーチャンの電話で起こされてん。
「みゆきちゃん?みゆきちゃん?」
「そうやけど?」
「みゆきちゃん?!みゆきちゃん?!」
「そうやで、わたしがみゆきちゃんやで。」
なんかしらんけど、恐ろしく取り乱してる。
「今電話してきたやろ?」
「してへんよ?」
「嘘や!!今さっき電話してきたたやろ?!」
「(なんで嘘つかなあかんねん) してないってば。
でも指がつかえて誤発信されたんかなー?わたしの名前の着歴があったん?」
「ないよ!非通知で掛かってきたの!」
・・・?
なにを言っているのだ?まったく解らない。
取り乱して今にも泣き出しそうやし
身内で誰か死んだんかな?そんとき思ったわけ。
「みゆきちゃん大丈夫なんか?ほんまに大丈夫なんかあああひぐっえええええ」
しゃくり上げて泣きだしたー!
いやいやアンタが大丈夫か?
「なにがあったん?誰か死んだん?」
「死んでないってー!」
カーチャンの話しは一向に的を得ない。
アタマおかしくなったんやろか…
それとも急性アルコール中毒?(以前に一度あった)
「どうしたん?酒飲んだんか?」
「酒なんか飲むわけないやろー!」
「ならどうしたんよ?」
「それはこっちが聞きたいわー!!!!(号泣)」
・・・??
その後はしきりにわたしのことを心配し、
「仕事は?今日仕事は行ったんか?」などと言うので
「ちゃんと行ったで。
仕事帰りにラーメン食べて、帰ってお風呂入って洗濯して、
ビール飲んで今ベッドに入って寝入ったとこやで、」
と、こと細かに説明した。
「ほんまか?それほんまか?!」
「ほんまやで」
するとよーやく、ようやく落ち着きを取り戻してきた。
その段階で、
もう一度、どうしたん?何があったねん?と尋ねてみた。
カーチャンの話では、
さっき泣いているわたしから電話があったらしい。
無論わたしではないんだけど、カーチャンはわたしだと思い込んでいたらしい。
そしてもうダメや、死にたいって泣きながら繰り返すんだって。
その声も泣きすぎて嗄れ果てて、何を言っているか聞きとるのに大変だったらしい。
カーチャンも泣きながら、今すぐそっちに行くから!東京行くから!と繰り返し
ダブルベッドの隣のとーちゃんは寝起きの頭で、今すぐ車で出発する段取りを立て始めた。
会社休んで。福井からサイタマーへ。
そして30分くらい話したらしい。
何を話したの?って聞いても、そこはぼかされてなぜか教えてくれなかった。
ここまで聞くのに30分以上掛かった。
その電話はわたしではない、と誤解を解いて、
誰なんやろな~、けいこちゃん(弟の嫁)やないやろな~と話しつつ、
とりあえず落ち着いたので電話を切った。
ん、
お陰で目が冴えて朝方まで寝られんかった。
今日、とーちゃんの電話で起こされた。
お昼休みらしかった。
「夜中に悪かったなぁ、心配させて」
「そんなんどうでもいいよ。
ところで何があったん?
偽のわたしから死ぬ死ぬって電話があったって聞いたけど、詳しくは話してくれんかった。」
「うん、ちょっと言いにくいんやけどな…、カーチャンには聞いたって言うなよ」
そう言って電話の内容を話してくれた。
二人とも寝てたところに家電が鳴った。
電話に近い方のとーちゃんが電話を取った。
電話の主は女で、低い声で泣いている。
そして、カーチャンは居るか?と聞いてきた。
とっさにわたしだと思い、でも泣いているのでカーチャンに代わる。
ここから、もうダメや、死ぬ死ぬ言っていたのはカーチャンの話と同じ。
何があったのか聞いても全く埒が明かないので、二人は今すぐ東京に出発しようと考える。
今からそっち行くでの、と言うと、その「わたし」は擦れ声で話し始めた。
男が浮気していて…
今、他の女とキスしてる…
つらくてずっと仕事にも行っていない。
もうどうしていいか解らない。
つらい。
死にたい。
わたしは誰からも愛されていない。
「おかあさんは!みゆきを愛してるよ!!」
それ本当?
「本当やで!」
そんなら、
キスして…
「どうやってしたらいいんやの?!」
電話口でいいよ、
今すぐキスして…
カーチャンは泣きながら
電話口で必死になって、
チュッチュ、チュッチュって音を立ててキスし始めた。
もっとして…
チュッチュ、チュッチュ、チュバチュバッ、
それを聞いて
わたしはゾワゾワっと鳥肌が立った
き ・ ん ・ もーwwwwwwwww (カーチャンごめんな)
こんでいいんか?こんでいいんか?と聞くと
「わたし」はこう言った。
わたしの電話番号、知ってる…?
「知ってるざ!4107、良いオンナ、やろ?」
(へー!!それすごい!その発想はなかった!)←わたしの携帯の下四ケタ。カーチャン天才すぎるwwww
全部、言ってみて…
「全部は憶えてないからすぐには言えんわ。でも携帯に入ってるしな!すぐ分かるで!」
そう、
もういいわ、ブツッ
そう言って
電話が切れた。
とーちゃんとカーチャンは
みゆき死ぬわ、と思った。
急いで電話を掛け直す。
今度は携帯から、私の携帯へ。
そして話は冒頭に戻るわけ。
納得した。
カーチャンがアタマおかしくなったんかと思ったけど
そうじゃなくて安心した。
それにしてもあれは誰やってんろ…?
「解らんねってー。
みゆきじゃないって分かった後、恵子さん(おとーとの嫁)かと思って掛けてみたんやけど
恵子はさん出ないし、純司に掛けてみたら
恵子は寝てるし全然違う、って言うんやって。」
「オレオレ詐欺みたいなもん?お金振り込めっていう、わたしみゆき詐欺?」
「いや、金のことは何も言って来んねってー。
そやけどな、あの状態で、
みゆきが泣きながら今すぐ100万振り込めって言ってきたら
銀行員叩き起こしてでも銀行開けさせて、お金下ろして振り込んだざ!」(ちょっとうるっときた)
「今までオレオレ詐欺なんか絶対引っ掛からんわって思ったけど、あれは引っ掛かる。ほんまに!」
「もしかして、性的なアレかなぁ。
やらしいことしながらハァハァ言って掛けてくるアレ。カーチャンにキスさせてたし」
「(離れて住んでる娘が居る年の女にさせるかフツー) でも女やってんろ?」
「ヘリウムガスみたいなのを使って声を変えていたんかもしれん。
異常に擦れた声も、今思えばそんな感じやった。」
「でも、えっちな電話やったら、まず男のトーチャンが出た時点で切るやろ」
「うーん…」
まったくもって
誰が何の意図を持って掛けたのか分からんねん。
わたしの電話番号を聞き出そうとしたあたり、
娘のわたしに矛先が向いたのか。
それとも
本当に誰かが死にたくなって、誰かと話したくなって
不特定に番号を押したんか。
どうなんやろ。
偽のみゆきちゃんが、今生きていることを祈ってる。
浮気している男も居ませんように。
ただの死ぬ死ぬ詐欺でありますように。
心から祈ってる。