高校の時、
英語のスピーチコンテストに出たことがあってん。
夏休みの課題で書かされた英作文、
それがコンテストの選考を通り、何かの代表で出ることに。
初めに言っておくけど、英語なんてダメダメで
あたしの英作文なんて
アイアムアケン、
中一レベルの単語を並べただけの代物だった。
そんな作文を英語の先生がめちゃくちゃ褒めてくれてん。
話が面白いってことと
2ヶ国語で書いたってことが評価された。
関西弁とかそういうオチじゃないよ。
ポルトガル語辞典を片手に、英語とポルトガル語を交えたの。
話の内容は
ひと夏の恋の経験、
Aの体験談。
ブラジルの留学生との。
ブラジルでは
挨拶でキスをするの?
日本では
”あなたが好きです”っていう時にするんだよ。
あなたはただの
”さようなら”という意味で口づけたのかもしれないけれど
わたしは
”あなたが好きです”って想いを込めて受け止めたんだよ?
キスをしてから
あなたへの想いが溢れて止まらない。
今すぐあなたに会いに行きたい、
この海を越えて。
会いに行きます。
いつか必ず。
このような
甘酸っぱい()内容で
評価をした先生もまた、かなり柔軟でファンキーな感性をお持ちだったと思う。
アタリマエだけど
単語が並んだだけのそれは、全面的に修正された。
先生が書き直したって言ってもいいくらい。
そんで、スピーチも毎日練習させられた。
残念ながら、あの頃学習したことをまるで覚えていないけれど。
ただ、
作文の最後の文章を修正されたことのがすっごく不本意で
今だ、先生の言ったことを覚えている。
"I necessarily go to Brazil,
someday!"
(necessarilyだったかどうか定かではないけれど
絶対!必ず!そんなイミの単語で)
先生は、
「まぁ、実際ブラジルなんて行けるわけないしね」
そう言って、こんな感じに書き換えたんだ。
"I wanna go to Brazil someday."
断定から
希望になった。
実現するかどうか
そんなことは問題じゃないねん。
いつか行くねん!
絶対行くねん!!!!
そんな想いを尊重してほしかったんよ。
みきみゆきリアルシックスティーン、
全力で恋してた。
***
そんなことを
アメリカ大陸の地図を見ていて、ふと思い出してん。
あの頃の
先生とあたしに言ってあげたい。
世界は近いよ、と。
因みに、
今なら言える。
あの時のAは、ただの挨拶ではなかったって。
それを身を持って感じたのは
去年、ドイツの旅の途中、フランクフルトにて。
そのことはまた
おいおいと。