わたしの希む最期。

2013/09/01(Sun)

今年は厄年なんやろか、ってくらい
周りで不幸せなことが続々とあってねえ。

わたしの身に何かあったわけではないけれど
そんな不幸せにいろいろと関わって、
お陰でいろんなことを考えることができました。



***

そんなに長生きはしたくはないけれど
今は、寿命まで生きてみたいと思うようになりました。



寿命を全うする頃、
傍に好きなひとが居るならば
そのひとを先に看取りたい。


朝も昼も夜も付き添って
手を握り、傍で休み
苦しいところをさすってあげたい。


身体中をくまなく綺麗に拭いてあげて
いつも気持ちいいようにしてあげたい。




話が出来るならば、今まで話し足りなかったことをここぞとばかりに話したい。
"言葉足らず"で誤解したりすれ違ったまま、別れてしまうことがないように。

会いたい人が居るなら連れてきてあげる。
友人が集まったなら、点滴でカンパイしよう。

点滴のカクテル、ダメ絶対

本を読んであげたり好きな音楽を聴かせてあげる。
にちゃんやニコ動で実況がしたいなら
代わりに実況してあげる。


【三途の川】 往きそう・・・ 【渡りかけ】(999)



時には動けないことをいいことに
ちゅっちゅしたり
えっちなこともしたりして
そして何度も何度も好きやで、好きやでと囁く。


そしてすごくすごくつらいだろうけど
その人の最期をしっかりと見届けてあげたい。

怖くないように
痛くないように
寂しくないように
しっかり手を握りながら。


そして、その命の灯が尽きた時
亡骸に縋りつくわたしを、すぐに迎えにきてほしい。
そのままわたしも一緒に旅立つんだ。
手を繋いで。




そんな都合のいい死に方あるわけないやん、って思うやろ。


***

実くんが末期のガンで死ぬ時
最期の最期まで、別の病院で入院しているお母さんのことを心配していた。
自分が死んだら誰がお母さんの面倒を看るんだろうって
そんなことばかり気に掛けていた。

大丈夫やで、
ちゃんとわたしが看るから、
そう言い聞かせても、モルヒネを打っても耐えられない痛みの中で
お母さんのことをうわごとのように繰り返した。


実くんの命が終わりを迎えたのは、明け方早く。
早朝から葬儀の準備でバタバタしていた頃、
大田区の病院から電話が入った。

「たった今、つねさんが亡くなりました」



?!



慌てて大田区の病院に飛んだ。



歳こそかなりいってはいたけれど
身体が動かないだけで、特にひどくどこかが悪い訳でもなかった。

朝、看護師さんに普通に朝食を食べさせて貰って
その後、眠るように逝ってしまった。


何の前触れもない出来事だったから、
看護師さんが全く気付かなかったって動揺していた。
でも、わたしらはみんな解った。
ああ…
一緒に連れて逝ったんだなぁ
あんなに大丈夫って言ったのに…ほんと心配性なんやから…。


その日そんなことが起こって、通夜と葬儀には
親子の写真が並ぶことになった。




それから十年。

家で、それから病院で、長い寝たきり生活を送っていたトミちゃんが、
体調を崩し始めた。

去年の暮れに肺炎を起こしてから、点滴だけで生き長らえてた。
心臓は動いているけれど意識があるんだかないんだか分からない、そんな毎日が続いてた。


ついに、お医者様から
今夜が山です
覚悟してくださいと言われる時が来た。

でも
今にも止まりそうな心音は止まることはなく
朝を迎え、
夜を越し、
一月も経とうとした。
腎臓が機能をし始め、心拍数は60も超えた。

お医者様は
本人の生きたいという強い意思の現れなんだねぇ、って仰った。



それがお盆の終わり
実くんを送りにお墓参り行ったんよ。

その帰り、トミちゃんのところに向かう途中に病院から電話が来た。
到着して間もなく、トミちゃんの心臓が停まった。

今まであんなにつらそうだったのに
なんの苦痛もない様子で、静かに。



実くんが迎えにきたんや…。

お盆が終わってあっちの世界に帰って行く時
一緒にトミちゃんも連れて行ったんだなぁ。

きっと、「トミちゃん、もういいだろ」って言ったんだろうなぁ。


旦那様が一緒だからと思ったからこそ
お送りするのになんの心配も悔いもなかった。
今頃手をひかれて一緒に歩いているのかなぁって思いながら
そしてそれが羨ましくもあった。

なあ、
こんなふうに死ねたら、どんなに仕合せだろう。



非科学的だとか、ただの偶然だと片付けてしまえばそれで終わる。
でも、科学では説明できない、偶然を超えた大きな業を感じるよ。




せやからな、
わたしは好きなひとを看取りたいんよ。

何の心配も不安もないように
しっかり手を繋いで
その命の灯が消えるまで、ちゃんと笑顔で泣きながらお送りしてあげるから
すぐにわたしを迎えに来てほしいんよ。

そんなふうに
己の最期を迎えたいんよ。





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