一章
二章
三章の続きです。
まだの方はそちらからどうぞ。
●73キロ地点、藤澤着
つくばスタート
平沢休憩所 10キロ地点
つくば休憩所(スタート地点) 20キロ地点
真壁休憩所 30キロ地点
岩瀬休憩所 40キロ地点
真壁休憩所 50キロ地点
つくば休憩所(スタート地点) 60キロ地点
藤澤休憩所 73キロ地点 ←今ここ。
土浦休憩所(土浦駅) 80キロ地点
藤澤休憩所 87キロ地点
つくばゴール 100キロ
この時は知らんかってん。
ここが73キロ地点って。
今まで10キロ毎に休憩所があったし
ここも70キロやと思うやね?
つくばから13キロ、いやに遠いと思ったかどうかは覚えてないよ。
せやけど、知らぬが仏やで。
知ってたら途中ココロ折れるわ!
到着した時、ベティさんときよしがもう着いてた。
身体Stick!
ばっきばきの身体をなんとか折って、二人の隣に座ると
きよしが神妙な顔で携帯の画面を見せてきた。
「むんさんが、リタイヤしたって…」
そこには
79キロでリタイヤするという内容が。
EEEEEEEEEEEEEE
そんなあほな!
大丈夫や、
これはむんちんの初めて吐いた弱音や!
「むんちんまんこや!
マジまんこやで!!」
慌ててメールを送った。
諦めんなよ
修造だって言ってるやんか!!!!
でも、返ってきたのは
自分の分まで頑張ってほしいって内容の返信。
なんじゃそれ・・・
きよしは怒っているようで
ベティさんは泣いているように見えた。
二人とも違ってたらごめん、そんな感じを受けた。
それからそんなに言葉を交わさなかった。
ケータリングのSOYJOYを黙々二本食べた。
行くか、そう言って立ち上がって歩き始める。
3人で歩き始めたけど、わたしが少し遅れを取り始め一人になった。
むんちん、もうほんとうに諦めてしもてんやろか。
どこかに棄権宣告でもしたんやろか。
なんでさっき、彼が遅れを取った時
一番つらい時やったって気付けんかってんろ
彼はあんなに、周りを気遣い、わたしを気遣ってくれていたのに
なんでわたしは気付けんかってんろ
なんであの時、手繋がんかってんろ
なんで手差し出さんかってんろ
あの時手を繋げていれば
一人じゃなかったら
極限の苦しみももしや、乗り切れていたかもしれん
あほちゃうか?
なんちゅう鈍感
なんてか、
今回、酔ったイキオイで参加表明してしもて
もうほとんどネタみたいな感じで出場してしまったから、
わたしどんな感動的なシーンに遭遇しても、絶対泣くかボケが!って決めてた。
恥ずかしいやん
感涙に咽いでしまいました!とかマジありえんで。
せやけど
己の失態を思うと
悔しくて、やるせなくてたまらんよ
しんどくて
わけわからんようになって
歯ギリギリ言わせて泣いた。
一人でよかった。
ベティさんとか隣におったら死ぬわ。
♪女呼んで揉んで抱いていっきもちー!
携帯が鳴る。
カッパのポケットから携帯を取り出す。
はなちゃんからや。
「みゆきもよう頑張った。
迎えに行くし
もうやめてええんやで」
あほか…
これやからシロウトは困るわ
最後までやり通さななぁ
ネタにはならへんねんで
しかも
今何時やと思っとんの
さっきあそこで別れていつ寝てんの?
はなちゃんは
まさに15番目のメンバーやった。
わたしらとずっと一緒に歩いてくれとってん。
二人に追いついた。
夜明けやで。
暗く長かった夜が明けようとしてる
大勢で一緒に歩き始めたけれど
3人になってしもたで
80キロの土浦から折り返してくる人とすれ違う度、無駄に元気に声を掛け続けた。
誰もが辛そうやけど、一歩一歩進んでる。
折り返して来られたワタナベさん、ミル姉さんとすれ違う。
このお二人はグループ1、というかダントツで速い。
最初っからものすごいスピードで歩いて行かれたので、ほんの最初しかご一緒していない。
その余りの速さに、人気のない所でダッシュしてるんじゃないかとわたしは疑ってる。
(この競技、走ったら失格らしい)
(よってわたしはスタート直後から失格なわけなんやけど)
スポーツ用のピタッとしたTシャツとスパッツを身に纏い、
わたしら(主にわたし)がえろしりとりをしていてもガン無視で
黙ってもくもく(言葉重複してる)先を歩いていかはったその姿は、すごく…アスリートです…///
みゆち 「まん子?まん子?!まん子!!!!(ワタナベさんとミル姉さん?!やーんめっちゃ速いですね!!)」
ワタナベさん 「えー?!まだ歩いてたの??」
ああ、
ワタナベさんもシロウトか
ほんま困るわ。
●80キロ 土浦着
休憩所というよりJRの高架の下。歩道。
駅に向かう人々が増えてきたので、なるべく道の端に座ってストレッチ。カッチカチ。
カッパのポケットから携帯を出して、写メを一枚撮ったら電源が落ちた。
電源ボタンを長押しするけど電源入らん。
なんとなく予想してた。
雨の中携帯触ってたんやもん。
ポケットの中もずぶ濡れやったし、そりゃ水没するわ。
電話帳とかいろいろデータ無くなったやろけど
もう結構どうでも良かった
ロスに留学中のSMKに 「きのうから80キロも歩いててなー、マジキチ!」って
国際テルテルしたかってんけど。
もう電源が入ることはなかった。
最期の写メ
あと20キロの一本道。
まん子や、まん子やで。
【つづく】