手を当てて、「手当て」という。
ほんとうにいい言葉だと思う。
治療の原点だとも思う。





人の心音（脈拍）は60～90くらいで
50を切ると臓器に良くない症状が出てくるそう。

金曜の早朝、
危篤の連絡を受けて病院に飛んで行った時は
酸素マスク越し息はしているものの、
心音も、息もいつ止まるかという状態だった。


心臓の動きが悪くなれば
他の器官に影響が出る。

まず腎臓が機能しなくなって、利尿剤を最大限投与してもおしっこが出なくなった。
足がむくみ、人の肌の色ではない色になって
わたしはそれを直視できなかった。

心音ももう止まるだろうという頃
そろそろです…と言われて覚悟を決めた。

それでも、
心許ない音を上げながら、心臓は動き続け、
夜を越し、朝になり
また夕刻を迎え、また夜を越した。
誰よりお医者様が驚いていらした。


その時身を持って体験したのは
ずっと手を繋ぎ、つらくないように、不安にならんようにと
大丈夫やで、つらくないで、って声を掛けるんやけど
そうしていると心拍数が上がるねん。

伝わっている。
手と手から力は伝わり
掛ける声はしっかり本人の生きたいっていう気力に繋がっている。

三日そう続けた結果
声を掛けている一時的ではなく平常的に
心音が30にまで戻った。
看護師さんは奇跡だと仰る。

ああ、「手当て」とはまさにこのことか。



それから先生に
今日は帰ってしっかり寝てきなさい、と言われて
昨日は夕方にうちに帰って
選挙に行って、家でごはんを作って食べて
少しの酒を飲んで8時間寝た。


何かあったら掛けつける、と言って授業を受けに行っていた桜井に、
病室を出るとき「落ち着いてきたので今日一旦帰ります。
晩ごはん作るお」と連絡したら

「ではごめん、ごはんはいいです。帰りが少し遅くなります」と言って
授業後楓のもとに走っていった。
帰ってきた桜井は
1時間しか会えなかったけれど、しっかり楓をぎゅっとしてきた。って言った。

桜井も知ってる。
手を繋ぐ、抱きしめる、話しかけるってことが
どれだけ大切なことなのかを。


きちんと相手の目を見て話しかけ、
親は子の手を、
恋人は恋人の手を
つらい思いをしている友人の手を
時には目の前の見ず知らずの人の手を
人は、いつのときもしっかり繋がなければいけないのだ。

それを怠っていなければ
きっと何があっても大丈夫やねん。

改めてそれを知った、16の夜。

このおはなしは、以下の続編です。

【由比ヶ浜まで115km、前編】
【由比ヶ浜まで115km、後編】


ごめんな！
もうちょっとで終わるよ！



100km歩いた後の正座マジやばい。
正座マジ沁みる。

ON THE★道端。




簡単だけど全ての報告を終え、
立とうとしたら
ごろっと転げた。

ブザマすぎｗ



で、
この後どーすんのって？


予定では早朝にユイガハマー。
鎌倉プリンスに泊りたかったけれど、ホテルのチェックインって午後3時。
せやから健康ランドや銭湯を探すも、あの辺なんもないねん。

mapで検索していたら、
すぐに入れてお風呂ができるところがあった。


そこ、しゅごいねんよ。
フリータイムっての使えば、朝入って夜まで居られる。
宿泊料金も払えば夜そのまま宿泊できる。
サイトには「予約できます★」って書いてあった。

でも、お電話すると
どこも予約は宿泊のみで、フリータイムの予約はやっていなくて
「直接いらしてくださいね！」って言われた。



わたし、
一人でらぶふぉに「まいどー！アイテマスカー？！」っていくん？
空室を求めて、らぶふぉ巡りをすんの？100km後に？


何の罰ゲームやねんて。
でも、
赤面しながら一人らぶふぉするところまでが遠足かな、と思うことにした。そんな予定。



で
長くなってしもたけど
ここフジサワーの一歩手前、
コクイチの道端。




藤沢出張で何度か使っている、東横インにもしもし。
二連泊ってことで、こんな時間の今から入れへん？って聞いたら「いーよ★」って。
あー
やっぱり東横インさんだわー

（フジサワーでらぶふぉ巡りしなくてよくてマジよかったーーーーーーー！）



んで、
青いカーソルがイマココ。100km地点。




藤沢駅前の東横まで、4kmとちょっと。


で、
タクシーを探すんだけど
一台も走っておらん。

夜中はあんなに空車がぶんぶん行き交っていたくせに
今一台もおらんねんよ？

タクシーさんばかなの？
つかえないこなの？


でも、いつまでもそこにいてもしょうがないので
タクシー通らないカナーと思いながら、またよちよち。



miCoachが101kmのアナウンスをした頃、携帯のバッテリーが1%になった。
miCoachとGPSを止めた。

miCoach先生ありがとう
ずっとわたしをサポートしてくれて。
Googlemaps先生ありがとう
わたしをここまで連れて来てくれて。

ありがとう
ありがとう
ここでさようなら。



コクイチを左折して、藤沢街道に入った。




藤沢市。
きました。






昨日の夜からパラパラと降ったりやんだりしていた雨が、本降りになった。
ジンちゃんに言われて傘を買ってよかった。

ほどなくして携帯の電源が落ちた。
もうすまぽんさんがいなくても、大丈夫やで。


雨の中をのろのろと歩く。
東横インまで4km

どれくらい掛かったか分からない。
藤沢駅前到着。
コンビニに寄って、東横インにインした。



部屋に入ってバスタブにお湯を張り、コーヒーを淹れる。
この日ゴール後、何が一番欲しかったって、
お酒でもカップラーメンでもなく
インスタントで作った、泥水みたいなくそ濃ゆいコーヒーだった。


コーヒーした後、戦闘服を脱ぎ捨てた。


戦争は、
もう終わったんだよ・・・・！






狭いユニットバスのお風呂、マジ極楽浄土！

湯船の中で足を揉みしだけば、声さえ漏れる。
すんげー
ナニコレ超ＨＰ回復するんですけど！


長湯をキメたら喉がカラカラ。
酒だ。
酒だ。
マテーラだ。


お風呂中少し回復した携帯を持って
雨の中、街へ繰り出した。



マテーラに到着したら、クローズドの札が掛かっていた。
ランチタイムとディナータイムの間の仕込み中カナー？

夜に行きますって言ってあったしね。
昼間っから飲める店で時間を潰すことにした。


この間、ジツに
三軒もハシゴして飲んでたｗ
ばかなの？



三軒目のお店は、マテーラ真ん前の居酒屋。
ビールケースに板を置いただけのお外のテーブルで
マテーラを眺めながら焼酎のオロナミンＣ割りを飲む。
これはこれでオツ。


ほどなくしてとむらさんが出てきて
オープンの札が掛けられた。
ご覧いただけるかしら？
テラスで本日のオススメボードをセッティングしているのが、とむらさん。





「もしもし…今からカウンター席を予約したいんですけど
空いてますかね？」

「空いてますよ？お名前は？」

「みゆきちゃんと言います」
「目の前に、おるよ？」

「へっ？」

「ココｗココｗ（手を振る）」

「ｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」




とむらさんとつやまくんが迎えてくれた。

カウンターに座って、「いつものアレ！（一人飲みセット！）」って吠えると
「二人飲みセットってのもできたんですけど？」ってつやまくん。




ＯＫ
その二人飲みセット、持ってきて。



つやまくん 「スパークリングワインとワイン、どっちにします？」

スパークしちゃってるやつで
あその前に
ニコラシカ！ニコラシカ！




っべー
気付け薬だわ、これ。

きもちいい…！ﾋﾞｸﾝﾋﾞｸﾝ


既に出来上がってマテーラに来たのに
こんなん3回もしてしもーたもんだから
ほどなくしてからの記憶がないよ。

わたし、ちゃんととむらさんとつやまくんに
ありがとう言えたんやろうか？


れいとくん、つやまくんはついったでずっと応援していてくれていて、
とむらさんは夜中、マテーラの閉店時間が過ぎた後も
何度も連絡をくれた。



まだ開いてるよ。
今どの辺？

たぶん、3時店いる

こちらは明日の仕込み終わりました。
がんばって。

そろそろ寝ます。（この頃5時）











パテがおいしくて
自家製ピクルスが身体に沁みて

スパークリングワインを飲んで
ジントニックして
茗荷のピクルスでポッキーゲームした。
そこまで憶えてる。



後は憶えてない。
気が付いたら翌朝5時、東横インのベッドの上だった。


二日酔い、なし。
筋肉痛、なし。
はらぺこ。


マテーラして
一晩寝たら
かんっぜんに回復した。


東横朝ごはん、
おにぎり味噌汁食べ放題をして、
二度寝して、
外に出たら



快晴だった。





ここから
夢の続きを、始めよう。





藤沢市片瀬。
片瀬江の島に続く道。

Walkmanはサザン全★開
昨日ここについた時とは比べ物にならないスピードで歩けるけれど
わくわくてかてかして、
あちこちでお写真して、
まあいわゆる、完全にヒャッハァしてましたね。
こんなんじゃまたいつ着くのかわからない。よ。



藤沢街道、終点。

海が、
見えた。









片瀬江の島。



ちなみに
ここで100kmのはずが、109km掛かった。
9kmわたしはなにをしていたのか。





湘南海沿いはお洒落なお店がいーっぱい。

ユーミンの歌に出てくるっていう有名なカレー屋さんも通る。
ユーミンの歌知らないけど。
きっと
インドカリーーーーー！（必殺技）とかって歌ってるんだろうな。


この134号、なんていう名前の道路だか知らないの。
地図にも名称が載っておらんよ。
ご存じの方、教えてください。





江ノ電から見える、絶景ポイント。
鎌倉高校前。

鎌倉高校ってすごいよね。
教室からこの湘南の海が見えるんやで？


わたし来月から鎌倉高校に編入するわ。
１６さい、２年。
そこで、ひとつセンパイのオウジサマーと出会うんだ。





そして
ここで初めてのキスをする。






おっさんがマジカッケー★
一目で地元の人って分かるね。

お名前を伺ったら、
奥の方がジョニーだとかジミーだとか仰っていて
流石湘南ボーイはちげーわ、って震えたけど

手前のGUY、「あ、ワタナベです」

あ、めっちゃフツーなんですねｗｗｗｗ






フリマなんかやっていて
いろいろ物色。
いちお、miCoach掛けてあるんだけどｗ
今日のゴールまでの距離が記録されていればいいですよねｗ



きたよ
鎌倉海浜公園前






由比ヶ浜
ゴールやで。






もう言っていいかな。





タダイマーーーーー！






ここまで歩いて来たいと思い続けて
一年とちょっと。


去年のつくば100kmは
わたしは湘南まで歩く、と言って
本番前日、we areなメンツとひと騒動しました。
たくさん葛藤して、結果つくばを歩いた。
あの日の結論と挑戦は間違ってなかったけどね！

いつも、いろいろ問題児でごめんな。


つくばが終われば暑くなって、もう歩けなくなり
今年こそ、今年のつくば前にやり遂げたかったの。

やっと、終わらせることが出来ました。
これで今週末、
心おきなくつくば100kmを歩けます★（うん、また今週歩くんだｗｗｗｗｗ）



完歩証は




お花みたいな海藻が埋め込まれた貝殻と、





七里ガ浜の海の色。



楽しかった。くそ暑かった！キレイかった。キツかった。助けられた！くそねむかった。足痛かった。圧倒された。足もげた！タクシー！タクシー！酔った。酔った！心躍った！ひとりでできた♡タダイマできた！マジヒャッハァ！




びっくりするくらいいろんな人にここを見て貰って、
当日超応援していただいてん！

いつも絡んでくれている方々だけでなく
普段ROM専ですが★ってメッセージを貰ったり
故郷の友人が、わたしの呟きを見る為だけにｗついったに登録してくれたり

行き倒れ中、懐かしい友達から電話を貰ったり
どこからか知って、弟の嫁まで心配して連絡くれたりとかｗｗｗ


お陰でスタートからずーーーーーっと
携帯触り通しだったｗ

どんくらいかって言うと、解る方だけ理解して？

 XPERIAの2330mahの内臓バッテリー と
 7000mahのバッテリー   と、  5400mahのバッテリー
これ24時間で全消費するくらいｗ


たくさん励ましてくれて
一緒に感じてくれて、
一緒に楽しんでくれてありがとう！




●ルート、距離




【フジサワーまで104km】





【フジサワーからユイガハマーまで11km】



鋭い方は、
気付いてらっしゃるかもわからんね。





100.00km
24時間00分、43秒

24時間越えたんジャ？


「あのね！
直前で赤信号で引っ掛かってね！43秒はその」

ジンちゃん 「うっわーかっこわりーーーー！ナニソレ言い訳？！」


うっせえです



完歩証は
やるよ、と言われると
「別に完歩証が欲しくて歩いた訳じゃないんだからね？
そんなのいらないよ」って思っちゃうんだけど

「おまえタイムオーバーな。
よってキサマにやる完歩証はねーよ」って言われると
ものすごく欲しくなる、ひとの心理って複雑だね。


でも43秒やで？
どーにかならんかったん？

最後の信号なかったことにとか。
電話ボックスの中、43秒早く起きたとか。
歴史は変わらない？


あ、
わたし、

魔法の呪文を知ってる。


「ad●beさーーーーーーーーん！」






しゅごい…！

最後の赤信号が青信号に変わったよ！


おまい
そこにスポーツマンシップ的ななにかとかプライドは、って

ないお★



●当日のリアルタイムうｐろぐ （ごめんな、各記事の並びが逆順です）
金曜
土曜
日曜




そんなこんなでこのまとめも終わります。
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました♡




あ
ちょ、
もうちょっとな！



【おまけ】


ユイガハマーについて
海を眺めておってんよ。

そしたらさ、
どっかから声がするわけ。

「みゆきちゃーん！」
「おめでとーう！」って。





どこ？
だれ？？







！


誰かいる


ジンちゃん？？？


なんでここにおるの？
もしかして
わたしのゴールを待っててくれたの？？


なんか持ってる…？






ブーメラン・・・・・・？！


朝5時に起きてラインやら電話しながら
しかも今日ここまで来てくれたんだと思って。

これチューでもしないと終わらねーなーって
唇舐めたからねあたい。



そう思ってたら





前日のむん子のゴールにもいらっしゃったワｗｗｗｗｗｗｗｗ


そういえば
きよしの100kmゴールの時にもいたし

この人、ゴールなら何でもいいんだ…？



【おわり】

由比ヶ浜まで115km、後編。
前編はコチラやで。



ヨコハマー手前で
かんっぜんに逝き倒れるかも、と思った。

由比ヶ浜は鎌倉市。
ここから神奈川区、保土ヶ谷区、戸塚区、藤沢市を越えないといけない。


むりやろ。


人は悲しいくらい
忘れゆく生き物で、
初めての100kmの、あの生涯かつてないほどの苦痛を忘れかけていた。

今、思い出した。
とはいえ、
あの時はこんなもんじゃなかったけどね。



しかもな、
予定ルートは江ノ島まででジャスト100kmのはずやってん。
google mapsはほんとうに正確で、
徒歩による多少の誤差、
コンビニに寄っていたり多少回り道をしても、そんなに大きな誤差は生じない。

でもな、
miCoachのこれまで歩いた距離で逆算すると、既に藤沢で100km行ってしまうねん。


昼間うろちょろしすぎ。
かんっぜんにヒャッハァしてた。


由比ヶ浜まで行くには
一体あと何十キロ歩けばいーのんか。

いやいや100kmでいい。
100km歩ければいい。
フジサワーがゴールや。
フジサワーでタダイマーしよう。

24時間以内に
100km歩き切ろう。


いや、
もう、
フジサワーも、
24時間以内もだめかもわからんね。



歩き始めて19時間を過ぎた頃思う。
ああ、
去年のつくばでは、今頃もうゴールしていたんだ。

倒立で歩いてゴールした。
眠くもないし
足も身体も、どこも痛くなかった。



そんなときに見えてきた
ココカラ神奈川区、の標識





そして
コクイチはこっちやで、の標識



横浜に来た。


もうここらへんのお写真は
くりっく拡大してくださいよ！






息を飲む。



これが

国道一号・・・・・！








んだこれ



横浜駅東口
金港ジャンクション
首都高神奈川1号と2号の合流地点。

ここ、その真下は東海道。
京都、
大阪までも繋がる道。

ここがコクイチの始まり？って思わせるようなスケール。
始点の日本橋なんてメじゃない。


ＴＯＫＹＯのどこの幹線道路の主要地点よりも
それは巨大で力強く、美しく佇み
圧倒されて声も出ない


あああ、
来てよかった。
ほんとうにこの夢のために
歩いて来てよかった。


歩道橋を掛け上がる。
足？
痛くねーお。
逝き倒れるかと思うほどの眠気も吹っ飛んだ。






気持ちと身体から込み上げてくるものが抑えきれなくて、
走った。
走った。

空の色は
夜が明けようとしているそれだった。



荒ぶる気持ちを歩みにぶつけながら
超ハイペース、1km10分切って歩いているつもりでいたら
マイコーチのアナウンスが「1kmあたり、14分です★」と伝えてきた。
あん？


その後、
気付けばいつのまにか朝になってた。
朝焼けは曇っていたから見られなかった、というより
横浜の高層ビル群に隠れて見えなかったのかもしれない。

それに気付いたのは、ヨコハマーを過ぎ
保土ヶ谷区にて
ウォーキングをしているおじいさんを見掛けた時。


ああ、
もう朝ねんや…




70歳も過ぎたお爺さんのウォーキング。
100km戦士の歩きとはほど遠い。
でも健康の為に、早朝から歩いていらっしゃる。


って、

そんなお爺さんに
華麗に抜かれて、


頑張って着いて行こうとしたけれども
まるで無理だった。


ぐんぐん引き離されて
気が付いたら見えなくなってたｗ


わたしもう
己を100km戦士だとか名乗るの、やめよう。
そんな恐れ多いこともう言えんわ。


お爺さんについていこうとしたせいで一気に疲れた。
足がこの上ない痛みを思い出した。

あかん
これあかん痛みや。


コンビニで休憩して
漬けもので塩分補給して
オレンジジュースで糖分補給して
ストレッチをして
またよちよち歩きだす。

ああ、
塩が沁みるわ…


保土ヶ谷区を越え、
戸塚区をひた歩き、





ちょ！
ゴールまで12kmって書いてある。
あと12km歩けばタダイマーできる。


普段なんでもない時だったら
12kmなら2時間で歩ける。
今だったらどんくらい掛かるんやろ。


初めて100kmした時
「1kmって何km？」って名言が生まれた。
まさに今、それ。

国道に振られた「１」という数字に気持ちが沸き立ちながらも
速度が上がることはなかった。






そんなよちよちしていた頃、ナンパされた。

「乗せてあげるよ？」


まあ、後ろから見たら、ツインテールでセーラー服の女子や。
16さいの女の子が歩いているように見えて然りかもしれん。

でも彼は、正面のわたしを見ても
あっごめんなさい、と言って走り過ぎはしなかった。



「どこまで行くの？」

「フジサワーまで歩くの」

「藤沢まで？何言ってんの？すっげー遠いよ！
乗りなよ！」


「あかんねん。
いまな、100km歩くっていう苦行をしてんねん。
車やら電車には乗られへんねん」

「なんでそんなことしてんの？」

「歩きたいから歩いてんの！
フジサワーまであと10kmやねん！」

「じゃあ10km乗ってきなよ？」



この

わ
か
ら
ずやｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ

おばかさんなの？
ねえ、おばかさんなの？？？



「せ！や！か！ら！
100km歩き切るねんよ！
もう、90km歩いてきたねんよ！
あと10kmでゴールなんよ！」


「今車乗ったらあかんやろ？？？
わたしここでリタイアでけへんやろ！！！（涙ながら）」



ぽかーんとした顔で

「100km歩いたらどうするの？予定は？」


・・・・・・、


「寝るの！
ホテルに行って死んだように寝るの！！！！！！」

「じゃあそのホテル行くよ」



ああ
がんばったわたしがばかだった。
さようなら。

横付けで並走されていたけど
見えない聞こえないふりをキメたら、諦めて走り去った。





歩道無き道を歩く。
迂回路はあるのだろうけど廻っていられない。
突っ走る！
突っ走る！（といってもよちよち走るレベル）


ジンちゃんがえらく早く起きて、何度となく激励のもしもしをくれていた。
初めは
良く頑張ったよ、もう電車しなよ、みたく言葉を掛けてくれていたけれども


「歩けよ！
もうここまで来たら、足が折れても100km歩き切れよ！」


うん、
足折れても歩き切るよ、24時間以内に。





あと5km！
あと1時間2分で24時間。
この5km、普段の1時間のペースで行けるのんか。

行くしかない。
行くしかないねん。





この辺から国道がバイパスになっていて
下道と本道を行ったり来たりしなければならず
やたらとこんな階段があったり、歩道橋があったりでえらくタイムロスを起こす。
ああんまどろっこしい！

歩いていたら間に合わない。
階段を駆け上がり、また掛け降りる繰り返し。
ちょー足痛てえ。
どこがって、ぜんぶ痛い。


わたし、100km歩いたらタクシー乗んねん。
100km歩き切ったら
そっこータクシー乗んねん！！！！！！



ＯＫＹさんからメールが入った。

「お酒かあたたかい味噌汁持って応援に行きたいけど、
ごめんなさい2人のどちらかにしか行けないから行きません。
でも超応援してます。
頑張れ！！！」

馬鹿、
こんなふうに見守ってくれているだけで、嬉しーよ！！



「気合いだーーーー！行けーーーーーー！」

きよしから激励が来た。

おおおおおおおおーっ！

震え立ったわ。


一足先にゴールしたむん子と、その応援に行っていたあららちんからもしもしがくる。

「むん子おめでとう！
でもごめん！今話していられない。
ゴールしたら電話する！」



We areなイツメンは
すぐ、傍に居てくれていた。






あと480m！！！
残り時間も5分5秒。

いける


制服のポケットにすまぽん仕舞って本気走り！
本気と書いてマジと読んで？
元スプリンターの走りを見よ！！！

行ける。
行けるで。
行ける！！！






100km
きたあああああああああああああ

きたきた
きたあああああああああああああ



タクシー！
タクシー！
taxiiiiiiiii!!!
タクシードコーーーーーー！！！！






タクシーは
見当たらない。

ちょ
もー
座って
いいかな…？



ジンちゃん、きよし、むん子、あららちん、おけちゃんにゴールの報告を。
むん子とあららちんには
「タクシー！タクシードコー！」としか叫んでいなかったそうだ。

そして
たくさん、たくさん見ていてくださった方々にも
メールとブログとついったとFacebookでご報告を。

もうこの頃すまぽんのバッテリー残量が数パーセントだった。



「ごめん！バッテリーがもうなくなります！
無事100km歩き切りました。ありがとうございました！！！」



これがわたしの最後の言葉となった。




【えっみゆきちゃん天に召されたの？まだ、続く、の…？】